監督退任、多村戦力外、そして五里霧中

五里霧中。

物事の様子や手掛かりがつかめず、方針や見込みが立たず困ること。また、そうした状態。五里にもわたる深い霧の中にいる意から。事情などがはっきりしない中、手探りで何かをする意にも用いる。

中畑監督が退任するようだ。

同時に、功労者の多村選手も、球団を去るのが決まった。

まずは、お二人に感謝と。

そして、多村選手には、新天地での、さらなる、ご活躍を祈りたい。

(活躍する可能性が高いと思うし、活躍して欲しい。)

さて、

今回の仕儀。

退任を意識しつつ、戦っていた監督と、多村選手の戦力外が一部で、リンクされて語れていたが、何処が、その人事の専権事項を握っているのか、

これではっきりしたと思う。

監督続投要請と、多村戦力外は別論議であるが、編成が、その人事を発している以上、そこには意図がある。

その編成の意図を読み解く事で、横浜の現状把握の一助になるのだが、かなり、ファンと乖離があるような気がするのだが、どうなのだろか?

多村戦力外の背景考察

・ 右打ちの外野手が決定的に不足

・ 多村以上に経験豊富な野手が不在 3000打席を超える野手は石川のみ。

・ 1000打席以上でみても、他の球団との比較で圧倒的に経験不足。そのほとんどが1000打席未満。

にも関わらず、球団は多村を戦力外としてしまった。

その意図を読み解くと、

2013年の鶴岡プロテクト外しと同じであり、

戦力を落してまで、

さらなる世代交代を進めたいと言う事なんだろう。

2013年、規定打席をクリアし、ブランコに次いでチーム2位の打率を誇った中村ノリ、鶴岡に対し、実質的に戦力外に近いような、雑な契約交渉を、編成はしたが、

この戦力を落して、世代交代を進める。進めた。

背景としては、TBS時代の歪な戦力構成が理由なんだろう。

ガタガタな戦力を立て直す為に、自前で選手を鍛えたいという背景があったのは言うまでもなく、先を見越しているのは、

2013年のオフに書いた記事

横浜の捕手事情と鶴岡の評価、その考察と雑感

に書いている通りである。

一方で、

選手を育成するにも、経験豊富なベテラン選手が必要なのは、

梶谷を覚醒させた中村ノリや、藤浪を一段上に上げた鶴岡、高橋尚成の石田、砂田へのアドバイス等で、効用があるのは周知の事実である。

経験豊富な先輩が後輩にアドバイスをするのは、普通に会社組織で見慣れた光景であり、

そんな事実を無視してまで、

注意。

後輩の成長=自身の立場が悪くなるようなプロ社会では、一般的に、そう言うアドバイスをする選手は限られる。

引退を意識し始めないと、アドバイスしない。

そんな事実を無視してまで、

世代交代を進めるのには理由があるわけである。

素人がわかるような安易な理由を無視してまでプロは決断をしない。

そんな編成をするのは、上がドタバタしていて、意志が統一出来てないTBSのようなチームぐらいだろう。

その判断の背景を探ると、

横浜は弱い。

という事になる。

横浜が、優勝するに、必要と思われる選手を戦力外とする一方、優勝する為に、巨人が相川や、金城を補強し、阪神は、鶴岡を起用する。

その背景を読み解くと、

考えている以上に、横浜の戦力はないようだ。

実際、ないのだが(今年、基礎戦力でリーグ5位に浮上予定。最下位を脱したのは、いつ以来だろう・・・)、

確かに、

昨年、感じたヤクルトの大躍進のような予感を、今年のチームからは受けない。

2014年、オフに書いた記事

高田GM通信簿? PDCAサイクル 継続へ

にも、書いたが、

ヤクルト。

昨年、最下位にも関わらず補強を凍結していましたが、

今年は積極的です。

そこは補強をすれば、優勝できると踏んでいるからなのだと思います。

(私も、ヤクルトに関しては、そう思います。投手力さえ整えば、即優勝争い出来そうです。)

今のヤクルトの積極性は、ちょっと前のオリックスを思い出すような状況です。

一方、横浜の場合、そうではない。

これが、中畑ベイスターズの課題というより、高田GMの課題なんだと思います。

最下位といえど、数字(生え抜きのRCやRSWINの合算値)をみるかぎりチームは着実に強くなっているが、

昨年のヤクルトのような状況には至ってない。

雲泥の差である。(後日、詳しく記事に書く予定)

それでも、随分、強くなったと思っていたのだが、

まさか、

多村を戦力外にする程、チームが弱い(戦力を落してまで、世代交代を進める必要があると編成が判断した)と、編成が、今のチームを、みているとは思いもよらなかった。

正直、ショックである。

中村ノリや、鶴岡と同じ構図なわけだが、

4年、現体制を続け、順調に戦力を整えても、

未だ、あの時と同じ判断で、弱いと編成が判断している。

二遊間の守備が良くなかった(思った以上に倉本が良くなかった)事も関係しているのかもしれない。

育成監督として定評のあると思われる中畑監督に続投要請を出したのも、横浜が弱い事と関係があると考えた方が良いだろう。

そして、

その青写真が、描けなくなった。

軸が定まったと感じない、二遊間、捕手、中堅(比較でまとも)と相まって、

混沌とした様相である。

五里霧中。

まさに、チームが問われている感じである。

難しい状況だ。

どう乗り越え、対応して行くのか興味深い。

どちらにしろ、私は応援するのだが、

失敗も、成功も、それを巡る人間模様を、知恵を感じたいものである。

結果も大事だが、

その努力(知恵)を応援したい。

結果を問われ、罵声が飛びやすい世界故、その関係者の努力を見守りたい。