2016年 倉本の打撃を数値で振り返りつつ雑感

制約のある打撃について 存外難しい最低限での打撃 倉本について説明

補足記事です。

シーズン半ばですが、倉本の成長を振り返りつつ、その状態を確認して行きたいと思います。

普通、こんな記事書きません。

それほど、変化が大きい選手です。

通常、一軍で通用→対策→停滞→来シーズンへが、

倉本の場合、来シーズンへでなく、今、やれています。

異質なんです。

現在、行われている攻防の結果、今後、どう相手が対策を打ってくるかわかりませんが、非常にシビアな攻防をしており、天秤がどちらにふれるかわかりませんが、倉本も課題を自覚しつつ対応しています。

その攻防の行方をファンとして期待して見守りたいです。

以下、いままでの倉本の軌跡です。

2016年 オープン戦

ご承知の通り、倉本はオープン戦、絶不調でした。

昨年に引き続き、全試合に出場し、

打率 .158 長打率.158 出塁率 .179  

IsoP(長打力をみる指標)=0

IsoD(四球)=0.02・・・標準的な選手は0.08前後 非常に低いです。 

一方で

PA(打席)/K(三振)=10.25 

昨年のオープン戦、打率.250 長打率.273 出塁率.282 PA/K(三振の多さ)=3.26打席に一つの三振を喫していましたが、その面だけ取りあげますと、大幅に良化させています。

三振率で言いますと(私、体がPA/K慣れていますが、最近は、こちらが増えて来ていますね)、27.8%→9.8%へと大きく数字を良化させました。

昨年、倉本は、変化球について来れず、バットも止まりませんので(スイング動作が大きく、肩が開くので)三振率がエルドレッド並かつ、チームでも最も三振を喫し易い選手でもありましたが、

修正して来ています。

つまりは、

それなりに、後の活躍の萌芽が、成績が悪かったオープン戦時点でも見えていたわけですね。

ですが、三振しなくても、ボールが前に飛びませんでした。(詰まっていた)

シーズン序盤

あまりに打撃の状態が酷かったので、

早々に擁護記事を書いてます。

03月27日

倉本を変えるべきだ なんて私は思いませんと雑感

そして、徐々にその努力が、スイングが馴染んで来ます。

変化球対策で、オープン気味、振り子打法にしていたのですが、スクエア気味の振り子にして以降、急速に打撃が良くなりました。

4月17日までは打率.250前後でしたが、

マルチ安打を打ち始めます。

圧巻は4/23の巨人戦。

00のまま迎えた7回表、2死満塁の好機から倉本が走者一掃の適時三塁打を放ち、試合の均衡を破っています。

昨年は、体が開くので、長打狙いの打撃にも関わらず、二塁打以上の長打を打つのに、実に120打席もかかってしまいましたが、皮肉な事に、長打を捨てた打撃(バットも含め)の方が長打を打てるようになっています。

ホームラこそ打ててませんが、良く打ってました。

IsoPでみますと、昨年が通年で0.041だったのに、対し、倉本は3,4月期、0.09と昨年との比較で2倍上長打力を伸ばしています。

そして、この記事

4/24

倉本、守備でも頑張っています、URZでみた各チームの守備力について雑感

守備面しか書いてませんが、当時、貧打であえぐ横浜に一筋の光を覚え始めた頃です。

そして、

5/07の記事

こんな仕合せで良いんでしょうか? って思う私(横浜ファン)と、雑感 

借金8の時に、横浜の逆襲を確信しています。(他にも理由ありますが)

これからは、皆さんに、横浜の強さを、良さを、もっと知って欲しいと思います。

っと書いてますが、その根底にあるのが倉本です。(戸柱と並んで)

守備面は期待込みで見込んでいましたが、打撃面における急成長を私、戦力読みに折り込でいませんでした。

普通、宮崎のように前年に、その覚醒の切っ掛け、予感となるような数値的根拠と、空気感(打席での空気)があるのですが、

倉本の場合、皆無でして(二軍ですら2割前後)、その特徴から来年ぐらいに.250打てたら良いなぁ程度に期待していたのが、この状況です。

そして、他球団も倉本の力を認め、対策をとり始めます。

壁、停滞期

どの選手もですが、ある程度打ち始めますと、相手も警戒し、安易なボールを投げなくなります。

壁です。

この停滞期を、どう乗り越えるかで、個性が見えるのですが、徹底抗戦しています。

これが凄いですよね。

成長力で、その壁を乗り越える例を見ることはあったのですが(あまりないので多くの選手は一時の活躍だけで落ちて行きます)、

倉本の場合、予め、その準備してました。

5/15

倉本対策 そろそろ真価を問われる時期が来たかもですね

にて、

相手球団が振り子の弱点を突き始めたと書いてますが、

倉本の長打(引っ張る)は、基本、ゆるいボールでした。

対策として、そういった球を基本、投げず、速球系のボールで攻め始めます。

結果、ジリジリ打率を下げ始めていますが、一方で粘り強く対応しています。

普通、ここで大きな壁にぶつかってもおかしくないのですが、

彼、準備して居たですよね。

ファールで逃げ始めます。

何処かのインタビュー記事で答えていましたが、予め予想し準備していたそうです。

坪井打撃コーチがいますので、相手の攻め方も予想できたわけですね。

ラミレス流、準備のススメのようなモノですが、

これがある事で、倉本は戦えてます。

去年、カットできなかったのが、振り子もあり、ボールが見えているので出来ます。

相手も、長打警戒しないで済む速球系が中心なので、攻め続けていますが(ストライクゾーン中心の攻防)、粘り勝ちしています。

倉本も、相手の意図を読むので、そういう対応をしています。球種、コースを予測しやすいのでカットし易いわけです。

当該期間中、IsoP(長打力)こそ、0.09から0に下がりましたが、持てる武器で粘り強く戦っています。

これがチームに凄く良い影響を与えてます。

中日戦で、解説の井上が驚いてましたが、

横浜、いつから、こんなに粘れるようになったとビックリしてました。

(石川、倉本、山下が粘ってました)

逆方向に強い意識のある打者は、ポイント後ろにありますので三振し難いです。

ここまでのストーリーを倉本は描いていたわけです。

横浜では、あまり見なかった選手なので、最近(先記事に書いてます通り、妙とは思っていましたが)、俄然興味が出て来ていますが、今後、どう推移して行くか楽しみでもあります。

守備でもデータ確認をしていますが、

打撃でも経時変化を確認しておきますかね。

6/11

通算

左31 中21 右19  二塁打 左1 中4 右2  三塁打 中1 右1

序盤

左13 中19 右18  二塁打 左1 中4 右2  三塁打 中1 右1

序盤は、速球系は逆方向へ弾き返し、ゆるい球は引っ張って長打を量産していました。

5/156/11

左18 中2  右1   二塁打以上の長打 0

相手の攻めが速球系中心になり、レフト方向への打球が多くなります。

引っ張れていません。

ここで、意識的に引っ張れるようになりますと、川端級に昇格です。

さて、どうなるのでしょう?

要注目です。

懸念点

左にヒット性の打球が集中し過ぎています。

結果、三遊間を絞られ易い状況です。

このせめぎ合いを現在しています。

参考記事

倉本が、こうなって欲しい的なモデルケース、坂本の守備(5/18 対巨人戦)について

本人も引っ張る必要があると思っていますので、意欲的に引っ張り方向の打撃をしています。

今後、どう変化するか楽しみですね。

守備共々、その成長の軌跡をとり続ける予定です。

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