情報(インフォメーション)と、情報加工(インテリジェンス)の違いについて 勝負強さとは
の続きです。
高城への過剰な批判に端を発している部分もありますが、高城の配球意図事情について説明させて下さい。
これは勝負強いとも関係します。
一般に、前節で説明したインフォメーションと、インテリジェンスの関係で言いますと、
外の配球が多いというのはインフォメーションに相当にします。
ただの一次情報です。
価値があるのは、どうして外の配球が多いのか、その意図と、その意図に対し、バッテリーと相手が、どう対応するのか、しているのかです。
これがインテリジェンスに相当します。
得点圏打率が高いエリアン(インフォメーション)を勝負強いとは言えないのは、彼には明確な弱点があるからです。
弱点のあるエリアンの得点圏打率が高かったというのは、なぜか?
これがインテリジェンスに相当します。
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インフォメーションとインテリジェンスは外交、軍事用語から発展していますが、
ただの数字である情報に、より有用な解釈、息吹を与えるのがインテリジェンスという関係性になります。
強い風が吹いているというのがインフォーメーション。
その結果、桶屋が儲かるだろという解釈がインテリジェンスに相当します。
さて、
アウトローは、配球の基本ですが、
どうして、バッテリーは相手が、そのボールに強くても、そのコースに投げるのでしょう?
その結果として、そのコース、ボールに強い打者の得点圏打率が高くなる傾向にありますが、実に不可思議です。
その結果、誰もが抱く疑問。
どうしてインコースに投げないのか?です。
これが外がぁっと詰ってしまう感情的背景なのですが、これ自体は正しいです。
正しいので厄介なんですよね。
その理由、説明に時間がかかる理由(外が多くなる理由)なのですが、その基本(論理)が常に通らない事を説明しないといけなくなるわけです。
配球の基本として対角(内と外を交互に使う。理想はインハイとアウトロー)、残像(緩急を組み合わせる)などなどを利用するのは理にかなっています。
ですが、高城は、外一辺倒です。(そう感じてしまう)
なぜ?だぁ、打たれてしまうと、怒るわけです。
そして、打たれる事で感情が爆発し、
それらが積み重なる事で、高城の事が嫌いになっていくのですが・・・
では、私達が感じるような事を、現場のプロである高城がわかってない理由。
そんな事あるのでしょうか?
そんな事はないです。
どうして、それを踏まえて高城は配球しないのでしょう?
これが本シリーズ(勝負強さの番外編ですが)の肝になります。
まずは、外の有用性について今回は語らせて下さい。
外が有効なのは、
その
目線から遠い、体から遠いでも良いです。
その
角度が付く
クロスファーヤーと言いますと、左投手が右打者の内角を攻める際に使われる良く使われるコトバですが、対角方向に角度が付く事で打ち難くなります。
これは高低についても言え、高めのボールに対し、低目のボールは投げ下ろしますので角度が付きます。
概念として2種類の角度があり(三次元だからXYZの三軸で角度があります)、
プレートの端に立って、対角を意識して使う角度(クロスファイヤーの概念)と、
マウンドの高さ、投手の身長等の投げ下ろす的な角度
の以上、2点です。
サイドスローで説明しますと、
サイドスローは角度で有利ですが角度は付きに難いです。
の角度があると、ボールの上面を叩きやすくゴロになり易いのですが、サイドスローのようなタイプが投げるストレートは角度がないのでフライになり易いです。
スクリュークウォター系の投手も上手との比較で横から投げる事で角度が付きに難く、
の角度は付きますが、
の角度が付き難いです。
横浜で言うなら、石田、今永が、その系譜に連なり、
彼らの場合、左腕ですが上手くインを使う事で(クロスファイヤ-+チェンジアップ、インスラー、カーブの組み合わせ)、本来、左腕を得意とする傾向が強い右打者に対し優位に立ちます。
石田、今永が左腕にも関わらず右に強い一方で、ホームランが多いのも、その投げ方による所が大きいです(角度が付きにくい)。
以上より、
目線から遠く、角度、が最も付くアウトローは理論上、最も打ち難いです。
投げ方(出所の見やすさ等)も関係しますので、その点には留意が必要ですが、
投げおろして、対角線上で角度が付くわけですから、当てに難いわけです。
そう言う原則がありますので、
基本を大事にする野村ID野球では、
終盤、アウトロー、一辺倒になり易いです。
ヤクルトさんの抑えは、ほぼアウトローになります。
江川さんも、この場面はアウトローだけで良いですと言います。(もしくは、その投手の最も自信のあるボール)
確率重視の野球です。
野球の常道、定石です。
外は配球の基本です。
その定石に倣って投げているのが巨人の菅野です。
上図は菅野の2016年の投球マップです。
みてわかります通り、右打者には外一辺倒です。
想像より偏っていると思いますが、かなり外一辺倒です。
余談
(因みに意表を突いてインに投げた菅野は3打席連続で桑原に打たれました。
これも桑原の勝負強さに関係し、最近の流行とも言えますが、外一辺倒の原因でもあります。
桑原が解説の衣笠さんに苦笑いされた理由でもあります。)
終わり
菅野は、この外の出し入れ(ボールを振らせている)で圧倒しているわけです。
これがインの出し入れですと、目線に近くバットに近いのでボールに当たり易いのですが、逃げて行くボールを屈指すると当たらないわけです。
安全なわけです。
菅野ような投球マップが配球の基本です。
<<配球の基本は外です。>>
関係性で言いますと、外で攻防できる事で内が活きてくる事が多いです。
内に配球の軸足をおくケースは、ほとんどないです。
一部例外で広島のジョンソン(シーズン序盤の今永)がいますが、内の出し入れは、体に近いのでボールに当たり易いです。
まずは理想形として菅野を提示していますが、
現実は、そう言うわけに行きませんので内を突く必要が出て来ます。
では、どうして内を突けないのでしょう?
続きます。