ヤクルト、横浜、中日と来て、広島の2013年、総括と展望です。
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連続Bクラス時代、パークファクターで2.4倍という、おそらく今後ないだろうと思われるようなボールの選定により、攻撃的な布陣を敷いていた影響で投手陣と守備陣がなかなか育ちませんでしたが、
統一球以降、徐々に守り勝つ野球が実現できるようになってきています。
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広島の戦術はスモールベースボール
昨年との比較で
3回終了時ビハインド勝敗
4勝43敗.085(6位)→14勝45敗.237(4位)
が大きく改善しました。
守り勝てる分野における能力向上が大でしたので、攻撃力が上がったというより、投手陣の粘りと守備陣の奮闘により逆転を可能にしたとみています。
また、犠打、盗塁を駆使したスモールベースボールを広島は志向していますが、リスクを冒して一点をとりにいっている割に、それほどとれてなく、場合によると、効率を落している面がありそうな状況です。
以下、
打撃、投手、守備に関しての総括と展望です。
尚、統一球の反発係数変更の影響がある為、リーグ平均に対し、どの程度、よくなったかで、その相対的な状況をみます。
相対値=チーム成績/リーグ平均x100 100がリーグ平均並みです。
打撃
XRWIN -3.43(4位)→-1.25(4位)
三振 912(3位)相対値100→1089(6位)相対値112
四球 374(6位)相対値91→467相対値101
打率 .233(4位)相対値95 →.248(5位)相対値98
IsoD 0.64(6位)相対値97 →0.71(3位)相対値103
IsoP 0.97(3位)相対値103→1.19(4位)相対値98
得点 427(3位)相対値95 →557(4位)相対値98
BABIP .285(4位)相対値100
内野安打率 10.9%(1位)相対値120
パークファクター 0.765
XRWINをみると、昨年よりマシになったようですが、基本的にリーグ平均以下の打撃タスクです。
三振は昨年との比較でかなり増えました。
一方で四球が、それを補うような形で増えています。
この辺り、丸と、菊地、堂林の成績が影響を与えていそうです。
特に丸は四球を昨年の46→85と大きく伸ばしています。
三振もですが(三番なのでそこは良いとしましょう。)
四死球を選ぶ能力が2012年の場合、チームとしてかなり低かったのですが、リーグ相対値で6ポイント向上させています。
但し、長打力は103→98と-5ポイント低下させており、その面で得点力が低下しているようです。
運不運をみるフィールド内に飛んだボールの安打率は.285。
リーグ平均並みです。
内野安打率が10.9%と相対値で120。
守備の傾向(失策が多い反面、アウトも多い)も含め、野手陣に若さを感じます。
守り
相対値の意味が逆になります。チーム成績/平均なので、数値が小さければ小さいほど優秀です。
RSWIN 0.17(4位)→3.35(3位)
FIP 3.71(4位)相対値100
防御率 3.46(3位)相対値93
失策数 106(6位)相対値135
DER 70.4%(4位)相対値100→69.7%(3位)相対値101
(数値が大きい方が良いです)
統一球の反発係数変更の影響で前年との比較が容易ではないのですが、統一球に関係のない数値、RSWINをみれば、その数値の良化は間違いないようです。
どの項目が良くなったか、ざらっとみましたが、FIP(投手の力)は昨年と同様(相対値でみて)、リーグ平均並みでしたが、防御率が7%相対比で良くなっています。
RSWINの数値が良化した理由の一つの一因として、
FIP-防御率の数字で、+0.33と投手本来の実力から予想される疑似防御率以上の実力を昨年の広島投手陣は発揮していた事が考えられます。
投手の力を底上げしているとしたら、それは守備陣になり、野手が、投手を助けていそうな状況です。
この辺の傾向はLOB率でもみてとられ、本来、奪三振率リーグ平均と比較し7%以上低く、その関係でLOB率も下がるハズなのですが、広島のLOB率はリーグ平均並みの74.5%っとかなり戻しています。
広島投手陣は守備陣に、助けて貰っていそうです。
(失策多いですが)
*
LOB率=残塁率です。
守備力が高いと良くなる傾向がありますが、
四死球、四死球→三振的x3的な一人相撲的のピッチャーも良い数字を残す為、注意が必要です。
また、田中投手のようにランナーが出るとギアを上げる投手もいます。
尚、昨年との比較で菊地がブレイクしたにも関わらず広島の守備力(DER)、チームとして大きく変化していません。
原因としては守備範囲の広い堂林の故障離脱があるかもしれませんが、FIP-防御率が+0.04と、投手の実力通りの防御率であり、2012年は、守備陣が投手を助けていると、いえない状態でした。
この辺り、同じDER(RF)でも、ポジションにより、投手に与える影響が違うのかもしれません。
巨人や阪神、かつての中日もそうですが、センターラインの野手のRFが良いと、FIP以上に防御率が良くなる傾向があります。
それでもリーグ平均並みの守備力なんですけどえねぇ。
巨人や阪神のように有力な外国人やFA補強が出来ない以上、何かで左記球団を上回る武器が必要とは思いますが、
磨けるとしたら、守備。
堅守と、私は思います。
パークファクターも、名古屋ほどでないにしろ、守り勝つのに向きそうな球場です。
地の利を活かして欲しいと思っています。
尚、その守備も、完成度で巨人や阪神の遊撃に後れをとっているかもしれません。
分析する度に思いますが、鳥谷、坂本は凄いと思います。
梵も下手ではないのですが・・・
+巨人にはキャプテン阿部が居ます。
強いて言うなら、阿部と鳥谷が円熟期で、歳が気になり始めたぐらいでしょうか?
時が広島の味方になるかもしれません。
また、
RSWIN自体が相対比なので、広島の投手力、守備力が上がった以上に他のチームの力が落ちてしまったとも読み取れます。
代表的なチームとしては中日、ヤクルト。
巨人。
意外と思われる方、多いかもしれませんが、2012年の方が比較で凄い投手陣でした。
2013年も十分、凄いのですが、内海、杉内が大きく、その成績(内実)を下げています。
その対応で、巨人、大竹を補強しています。
大竹獲得の是非について分析した記事
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/aaakkk/article/15
2013年シーズンを見ますと、
巨人と阪神、広島以外の他の3チームの野手陣は投手の足を引っ張っています。
結局の所、二遊間(の内、どちらかが万全)がしっかりしているチームは守備で良い影響を与え、投手を盛り立てるようです。
DERが低く投手の足を引っ張るチームには二遊間にレギュラーが居ません。
守備に関してはAクラスの巨人、阪神、広島とBクラスの下位三球団で、かなりの差が生じている印象です。
以下、個別寸評
広島、注目の野手
菊地
記録に残るRFを記録しました。
失策も多いですが、阪神の名二塁手と言われる西岡に簡易RFで1.5以上という大差をつけています。
144試合換算で阪神の西岡より216アウトに関与しているわけですが、その数字の意味に寒気を覚えます。
年間500打席に換算しますと、216/500=.432打撃成績にプラスαされるわけです。
むろん、いろいろなモノがRFには関係しますので、必ずしも総てが菊池だけによるモノではないと思いますが、此処まで抜きんでたタスクを見せつけられると、
凄いでお終いです。
打撃面も今後に期待できるタスクです。
XRWINが-0.49と打撃こそリーグ平均をわずかながら下回りますが、
犠打率、52企画に対し50成功と、標準以上に小技も上手く、長打率も堅守が求められる二塁手(基本的にみなさんリーグ平均を大きく下回る打撃能力です)の中では異質の.374。
スケールの大きさを感じさせます。
一方で三振は121と多く、ストライクゾーンの空振り率は10%。
スラッガー並に強く振りに行っています。
選球眼も含め荒削りなのは否めないです。
否めないですが、
中日の堂上が強い打球が打てないにも関わらず、空振り率が3%と当てに行くバッティングで伸び悩んでいるのと、対照的に感じ好意的に受け取れます。
堂林や丸も、そうですが、まず、フルスイングをチームとして徹底させているのかもしれません。
長打力は後天的なモノでなく先天的なファクターと呼ばれていますし、今後に期待しています。
将来的には二番でなく長打力を活かして、一番か三番に定着してくれると、広島としてかなり強くなるのではないかと考えています。
今後の展望
守り勝つという意味で、2004年の落合中日と比較すると、未だ未だ、もの足りませんが、
選手構成的に楽しみな選手が多いです。
また、まずはフルスイングと言う、基本に立ち返った指導も好ましく感じます。
二番、二塁と言いますと、進塁打も求められると思いますが、野村監督自体が大型ショートだったからでしょうか?
強い打球を打とういう所に好感を強く覚えます。
資金力で劣るチームですが、Jリーグで広島と言う好例がありますので、是非、それを目指し、頑張って欲しいです。
期待しています。