中日 2013年 総括と展望

ヤクルト、横浜と来て、中日の2013年、総括と展望です。

中日の場合、11年続いた連続Aクラスの記録が途切れる節目の年でした。

Bクラス転落の理由と考察について一連の連載記事で書いてますのでよかったら読んでください。

最初に2013年中日の成績です。

64勝77敗3分け 勝率.454 4位

ホーム成績   29勝42敗1分

ヴィジター成績 35勝35敗2分

チーム戦術傾向

犠打嫌い、2年連続最小犠打数。

併殺数トップ→ 打撃成績が悪い(出塁数が少ない)にも関わらずの併殺数トップ。

昨年も5位。

数少ないチャンスを潰していた。

全体的に粗い印象。

盗塁数 57(5位)、成功率 64.8%(5位)

犠打 98(5位) 犠打率 75.9(5位)

併殺数が増えてしまった理由について簡単に考察

犠打の数の少なさもあると思いますが、それ以上にチーム全体に足がなかった影響を感じます。

安打数に占める内野安打率が7.6%と、最下位。

リーグ平均の9.1%に対し、かなり劣っている状況。

盗塁も少なく、成功率も悪いです。

選手起用→攻撃重視

内野安打率等を考えるとベテラン重視の布陣。

アライバ、ルナが故障して以降は、若手に切り替え。

データをみる際の注意。

ご承知の通り、統一球の反発係数が昨年までと違いますので、昨年との比較はRCWIN(リーグ平均と比較した打者の数値)か、RSWINを見て下さい(リーグ平均と比較した投手の数値)。

チーム打撃成績

RCWIN -0.73(4位)→-5.12 6位(控えも、レギュラーも打てません)

打率 .245 6位

OPS .675 6位

HR 111 4位

四死球 471 4位

IsoP .114 5位

BABIP .274 6位 → フィールド内に飛んだ打球のヒット率、運がない、ポジティブに受け取るなら、来年、良くなる?

パークファクター 0.5 (東京ドームが1.4 甲子園が0.64)

得点 526 6位

チームとして攻撃的な選手起用、布陣を敷いてはいたのですが、一見すると効果は見えませんでした。

レギュラー野手で、ルナ、平田、森野、和田と活躍した選手もいましたが、それ以外のレギュラー、控えは基本、リーグ平均以下の打撃だっったようです。

リーグのRCWINワースト5の内4名(荒木雅博堂上直倫谷繁元信・井端和弘)を中日の打者が占めており、不振の打者があまりに多かったです。

リーグで二番目に悪いチームが阪神でしたが、その阪神のRCWINが-1.99でしたので、セで一際目立つ、状況でした。

名古屋球場の特性を考えるとHR等は健闘している方と感じます。

運、不運の指標ともいわれるBABIPがリーグ最下位で、運がなかった可能性もありますが、内野安打率が最下位の7.6%だったことを考えますと、フィールドに飛んだボールをヒットに変える脚力がなかった可能性もアリ、一概に運が悪かったで済まず、選手構成の変更が必要かもしれません。

内野安打率は若い選手の多い、広島や横浜等で10%を超えており、足の早いチームほど比率が高くなる傾向があります。

全般的に足に問題を感じ、若さを感じない状況です。

世代交代をするハズでしたが、2年間でより、深刻になった感じです。

チーム防御系成績

RSWIN 6.52(2位)→-1.05(4位)

LOB% 76.9%(2位)→73.6%(4位)

防御率 3.81(4位)

FIP 3.62(3位)

四球 495(5位)

三振 916(6位)

本塁打 110(1位) 

HR/9 0.76(1位)

QS 64(5位)

DER 68.8% (4位) 

主力投手の怪我もあり、ぱっとしませんでした。

その上、中日投手陣を長らく支えてきた守備陣も、逆に投手の足を引っ張るような状況になっています。

俊敏性に問題があるのか、守備範囲が年々狭くなっています。

上記理由もあり残塁率ともいえるLOB率が悪化しています。

ランナーを出しても、本塁に返さなかったのが中日の特徴の一つでしたが。。。

'中日Bクラス転落の理由と考察、守備編

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/aaakkk/article/49'

でふれていますが、いろいろ影響を与えているようです。

中日の場合、このLOB率が以前、リーグ断トツの数値を誇っていました。

一般に横浜やヤクルトのように守備力の弱いチームが低い傾向があります。

むろん、投手の傾向、三振の多寡や、文字通り、その投手自体の特性もありますので、LOB率=チーム守備力とは言い難いですが、割合、守備力通りの順位になっています。

守備で中日より下は横浜とヤクルトのみです。

チームDERが低いチームは、レギュラー野手が少ない場合が多く、特に二遊間に問題がある場合が多いです。

長期にわたって低落するチームは、その二遊間の、どちらも固められない場合が多く、一つのサインとみています。

広島が二塁に菊地を得て、今後、強くなって行きそうですが、悪い意味で、今後の中日が、心配です。

そうは言っても、未だ荒木の守備は標準以上。

衰えたとはいえ、流石レジェンドです。

以下、個別寸評。

野手陣

ルナ

リーグ6位のRCWIN 2.64を記録しましたが、前半でリタイヤ。

残念。

簡易RFも2.39と失策は多かったかもしれませんが、守備範囲もまずまず、三塁守備で標準以上の守備を見せました。

強いて不満を言えば四死球が少なく、IsoDが平均の0.069に対し0.049だった点。

積極的に速いカウントから打ちに行っていた事で三振自体は少ないのですが、四死球を選び取る忍耐力に問題があるようで、成績が乱高下するタイプなのかもしれません。(マートンに近い印象、二人ともストライク、ボールに関係なく打ちに行きます。 鳥谷がボール球の90%を近くを見逃すのに対し、ルナやマートンは70%程度しかありません。)

また、BABIP(ホームラン以外のフェア・ゾーンに飛んだ打球がヒットになった割合)が0.403という異常に高い数値を記録しており、今季と同様な成績になるか、やや怪しくは感じています。

SBの内川のように広角に打ている打者ですと、BABIPが高く(内川は毎年、高いです)ても安心感があるのですが、打球のほとんどは左方向な為、マークが厳しくなる来季は、多少なりと成績を落すような気がします。

森野

RCWIN0.43→1.93

チーム事情により一塁、二塁、三塁と様々な守備位置を守りつつ、打撃成績も良かったです。

この森野が、どの守備位置を守るかで、ドラゴンズの方針がわかると思います。

和田

RCWIN2.87→1.43

去年のとの比較で落ちてしまいました。

チームの併殺王。

併殺数 26はセリーグ一位です。

足、遅いです。

四球を選び取る能力は相変わらずでもあり、Isodはセ5位の0.095、ボール見極め率は82%を誇ります。

ルナや、梶谷も見習って欲しいです。

足、遅いので守備範囲狭いです。

補殺、昔は多かったのですが、衰え気味?

平田

RCWIN -0.14→1.79

落合時代から継続的にチャンスを与え続けられ、外野ドラ1野本や堂上兄と、正右翼手、争いを続けてきましたが、ライバルに差をつけた感じです。

守備も上々、標準以上です。

ルナや梶谷と違って、極端に成績が下がりそうな傾向はありませんでした。

長打力もあり、期待大。

堂上

井端の故障もあり、度々、チャンスを貰っていますが、未だ・・・

RCWINは -1.12→-1.45

ボールの見極め率も67%とルナ以上に悪く、打球も非力故にフィールドに飛んだボールのほとんどはアウトになります。

BABIPが堂上のように0.17と極端に低い場合、打球が前に飛ばない場合が多いです。

去年までの梶谷が、そんな感じです。

ルナの項目で、BABIPが高いと不安的な事を言っていましたが、打球が強くないと、そんな事を言えない悲しい状況になります。

平均的な打者は0.290.30程度と考えてください。

強いボールが打ててないのにストライクゾーンの空振り率が3%と、悪くありません。

当てに行く打球でなく、打ち切る打球を心掛けた方がよいと思いますが、中途半端なバッティングをしているかもしれません。

高橋周平

期待の若手、堂上のBABIPと比較で0.273と打球が前に飛ぶ模様。

ボール見極め率72%と悪く、IsoDは0.42と低い。

長打力(IsoPが.152)が良いので、大きいのを狙っている打者と思いきや、ストライクゾーン空振り率が3.2%と、ミート力もあるぴょうです。

巨人の寺内が7%、片岡が5%程度なので、その方々との比較で、へぇーっ です。

面白い素材かもしれません。

荒木

打撃は・・・

守備は未だ健在。

井端

選球眼良いですし、打撃は、良くなるかも。

守備は・・・

谷繁

・・・・

大島

RSWIN 2.56→-0.98

と前年との比較で大幅に打撃成績を落しています。

足は早いのですが盗塁成功率が68%と低く、盗塁死も多いです。

同時に犠打率が悪く83%。

広島や、巨人の野手の犠打率が軒並み100%近くあるので、気持ち目立ちます。

守備は、超一流なので、ガンバって欲しいです。

投手

吉見カムバック。

岡田、よく頑張りました。投げ過ぎ心配です。そりゃ、権藤投手コーチも止めるわけですわぁ。

岩瀬、ランナー出しつつ、頑張りました。

ファンはドキドキしたと思います。

西村劇場と言われた西村のWHIP(1回に出したランナーの数)は1.08。

対して、岩瀬は1.26。

西村のWHIPは凄いのですが(巨人には贅沢にも西村以上に打者を圧倒したピッチャーが二人もいるので厳しい目にさらされています。)、岩瀬のWHIP1.26は、心配な部類。

元々、ランナーをより多く出すピッチャーですが、来季はどうでしょう。

それとも、その類稀な投球術で残留の山を築くのでしょうか?

分析して面白そうな素材としては、大野とカブレラです。

来季の飛躍が期待されます。

でも、文面の都合もありますし、そろそろ、今年のプログ更新を〆たいので、終わりにします。

来季展望としては、

平田、高橋と面白い素材が居ますが、センターラインの再構築は骨が折れそうです。

代わりうる人材が見当たりません。

堂上が、その一番手になるべきですが、期待できる可能性を感じず、なかなか難しそうです。

最終的には捕手・谷繁に波及する厄介な問題です。

もし、優勝するとしたら、捕手・谷繁が健在な時だと思いますので、早めに勝負をしそうな気がします。

何より谷繁新監督が負けるの嫌いです。

高木監督に近い性向を覚えるので、勝つために守りの野球をしそうです。

世代交代との兼ね合いが気になります。

チームとして、足に関する成績低下(守備力、盗塁、内野安打率、犠打率。。。)が顕著でもあり、守りの野球をしたくても出来ないような気がするのですが

そうは言っても、投手に対する谷繁補正は、実感として、かなり大きく感じますので、

守備を再構築できれば、本当に優勝するかもしれません。

何より成功体験がありますので、本当に、そうするかもしれません。

世代交代まったなしですが、困ったことに、捕手谷繁に代わる有力な捕手が見当たりませんし、交代したくても出来ないかもしれず、そんなチーム事情もあり、来年、守備偏重の編成で勝負する可能性を覚えてしまいます。

捕手の世代交代に関しては鍛えていて捕手を楽天に放出していますし、0スタートの様相です。