スポナビで私が良く伺うプログにおいて、武田久はアンチセイバーメトリクスの申し子?と、言われているらしい。
記事では、
>2013年のパ・リーグで武田久のWHIPが極めて高い割に,防御率は優れていたことから,一部ではアンチセイバーの申し子などと言われていた。
WHIPは一応セイバーメトリクス系の指標とされるので,セイバーメトリクス系の指標が悪いにもかかわらず,防御率は良いというところをもってアンチセイバーなどと呼ばれたのであろう。
しかし,そう言ってしまってよいかは疑問が残る。
との事だったが、
私も、その記事を書かれた方と同様、非常に疑問な主張だったとコメントしておきたい。
そもWHIPは、出塁の質に関しては、全く考慮されてなく、
乱暴な言い方で言えば、
四球も、長打も同じ扱いにするような数字である。
四球が多く、本塁打(長打)が多いような投手の場合、WHIPが悪いと、多くの場合失点に結びつくのだが、
ランナーを出しても、本塁打等の長打を打たれず、かつ、併殺を打たせる技術(持ち球など)を持った投手の場合、そのWHIPの割に失点が少ない場合もある。
元楽天の田中ようにギアを変える投手も居るし、
セットの良し、悪しで、ランナーを出すと極端に崩れる投手も居る。
この場合、WHIPが低くても、防御率が悪くなる。
今年で言うなら中日が、それに当てはまり、
結果、被OPSから予測される失点と実際の失点に大きな乖離がみられた。
2014年05月14日
田島投手等、セットに問題の多い投手が多く、+谷繁、松井捕手の肩にも問題があった事で、ランナーを出すと途端崩れていた時期があり、
このような時、繰り返しになるがWHIPの割に防御率の悪い成績になり易い。
これは阪神にも言え、一時期、投手を引っ張り過ぎる事で、被OPSの割に失点が多い状態のチームでもあった。
正捕手が未熟だった時期もあり、終盤に打ち込まれる(同じ配球を繰り返すので)傾向があり、余計に、この種のWHIPと防御率に乖離があるような状況に陥っており、
結果、阪神の場合、ベテラン捕手が正捕手を被る事で、CSを突破したわけである。
また、呉のように、カッカっし易い投手の場合、大事な場面で、
直球ばかり投げ、打たれるような場面もあり、WHIPの割に防御率が悪かった時期があった。
(相棒が年下だった影響?あまりに打たれ過ぎるので、呉が登板する場合、鶴岡に捕手が交代するようになった。)
このWHIPの割に、良い、悪いというのは上記のように、
個別の状況を丁寧に読み解く事が必要がある。
が、
武田をもって、アンチセイバーと主張する彼らに言わせると、その一歩手前で止まるようである。
結果、
総合指標でもなんでもない、
ある一面(WHIP)を過剰に取り上げて、○○という指標は変だと主張する事になり、
それだけでなく、その○○という指標を作ったセイバーの考え方は未熟と主張するわけである。
確かに、私も、ランナーを出さない投手は、良い投手の条件の一つだとは思うが、
あくまで投手の能力を表す諸数値の一項目のようなものでしかなく、
直球が良いからと、良い投手とは限らない(コントロールが悪い)事を、○○だぁっと言い切る非常に危うい表現ではないかと私個人は思わざる終えない。
数字が、どのようなモノを表しているのか、考えもせず、武田久はアンチセイバーだと論ずるのは、結論(セイバーは問題が多いという先入観もあって数字の意味を見誤る)があって、理由は後付なんだろう。
結果、?な論拠を、そのまま使用してしまうのである。
そもそも、セイバーとは言うが、ただの統計学である。
しかも、初歩の初。
工場の品質管理の方が余程、難しい数字を使っているし、開発は言わずもがだぁ。
経済学の知識や、アンケートにおける数字の解析、実験計画法等を知る人たちが、この世界に参入し始めているが、そういった知識が介在する事で、野球もまた、見方が変わるかもしれない。
そう畏まらず(否定せず)、こういう見方もある程度で見て欲しいと常々、思っているが、
否定したい人は否定したいのだろう。
さて、
本題の武田である。
単純にWHIPだけ、見るなら、武田久の数字は異常値とみて良いだろう。
異常値と言うより、
分布(平均的な枠を超えていた可能性がある)から外れた投手であった可能性が高い。
正規分布から外れるケースが、統計にはあるが、そう言った類の数値だった可能性がある。
2013年、武田久の、WHIP1.64。
ウィキの評価基準で言うなら最悪レベルである。
→
パでも非常に悪い部類の数字であろう。
この数字だけをみると、防御率5、6点台になりそうな数字でもあるが、
(WHIPと防御率の散布図を作らないといけないが、面倒なのでパス)
一方で、
散布図を作って相関係数を出し、各係数の重み付けをした数字でもある疑似防御率では、
3.77と、
WHIPの数値の悪さと、乖離がある状態である。
ここから、導き出される答えは、
出塁の質という意味で、投手側からみて、武田久は良かった可能性が高いことが想起される。
つまり、疑似防御率に関係する数字である、被本塁打、四球、三振が、
武田久の場合、まずまずだったわけである。
また、WHIPが悪い割に、防御率が良いわけだから、LOB率も良かったのだろう。
以上、推測しつつ、
武田の諸数値を確認すると、
WHIP 1.69→ リーグ平均1.32 非常に悪い
防御率 2.28→ リーグ平均3.57 優秀
疑似防御率 3.77→ リーグ平均3.76 普通
k/9(奪三振率) 5.32→ リーグ平均6.67 悪い
BB/9(与四球率) 3.04→ リーグ平均3.18 普通
被本塁打率 0.57→ リーグ平均0.66 やや良い
被打率 .322→ リーグ平均.258 悪い
そして
LOB率 88.8%→リーグ平均73.4%
当たり前と言えば当たり前だが、WHIPの割に防御率が良いわけだから、
LOB率が非常に高い(投手側から見ると良い、打者から見ると、残塁の山)わけである。
WHIPが悪くても、数値的にはLOB率(残塁の山を作る)で説明できるわけである。
ここで、
考察を止めたら、ただの、数字の羅列と変わらない為、
このLOB率が、
武田の実力だったのか、それとも、たまたまだったのか(そうい解釈もあり得る)、そこは、もう少し長いスパン(2013年だけでなく、それ以前の成績の確認)で見る必要があるだろう。
中日の岩瀬のように、投球術、捕手(谷繁)、守備(アライバ、その他)が揃うと、実力で高いLOB率を出せる場合があるが、
さて、
武田の場合は、どうだったのだろうか?
答えが出ず、たまたまだったのかという答えになる可能性もあるが、それも、また、オフの楽しみなんだろう。
贔屓のチーム(横浜)なら、
あー、それねっと直ぐわかる場合が多いのだが、
数字だけで、現象を探索するのは見落としがあり(諸事情を知らず間違った答えを導きだしかねない)、
例えば、
横浜の山崎、
コンディションが悪化した事で各種成績が低下(夏場以降、守備も打撃も最悪)したことなど、
シーズン結果だけみると、わからない諸事情でもある。
2へ続く