得点圏打率の高い横浜エリアンについて雑感 勝負強さとは

勝負強さについて 序論

ファンが打たせる筒香について雑感 勝負強さについて の 導入部

勝負強さについての連載記事です。

前回記事から約2か月。

思うままに、つらつら書きつらねるプログゆえに、寄り道をしていますが、

広島新井を語る前に横浜エリアンについてです。

記事ネタ的に新井は、誰もが認める勝負強さですので、旬食材と言うより冷凍庫で凍らせたい素材でもありますが、

その前にエリアンについてです。

勝負強さ、クラッチヒッターを語る上で欠かせないファクターとして技術的要件(配球の読み、右打ち)がありますが、その説明でもあります。

概ね、

失速気味のベイスターズと中日の共通項、そして雑感 ある意味で順調です

にて書いている内容に準じます。

個人的な所見ですが、

技術レベルが確かになって来ますと、

ランナーなし(配球に制限がないシチュエーション)より、配球に制限の入るランナーが居る場合の方が打率が上がり易いと思っています。

巨人の村田も、そのイメージに反して、その高い技術で打率が高くなります。

尚、

セイバーでは一般に、シチュエーション別打率を重視しません。

なぜなら数字上確認できないからです。

なぜ?見えないのかは、彼らの計算の仕方に問題があると思っています。

理由は、

層別せず、その総てを包括的にみているからです。

結果、見えなくなるわけです。

その数字自体は正しいのですが、マスデータ(ビックデータ)で見えなくなるわけです。

ニッチな市場要求を、ビックデータに拘り過ぎますと、見えなくなりますが、それに近いです。

魚釣っている人ならわかってくれると思います。

フロリダ沖に降り注ぐ栄光の光の中で舞い踊るトビエイを釣り上げる事を望むブログ

種別関係なく、雑多な数字として膨大なマスデータとして統合してしまうので見えなくなってしまうわけですね。

そこは疑って欲しい部分ではあります。

良くあるものとしては、

工場Aで作った生産物と、工場Bで作った生産物を統合すると、正規分布しているように見える場合があります。

(山が潰れるとか、特徴が見えなくなるとか言われますが、マスデータに埋もれすぎると、逆に見えなくなるものが出て来ます)

ですが、工場別にデータを層別しますと(層別し過ぎると試行錯誤数の問題が出て来ますので一長一短ですが、その解釈にセンスを要すると思っています)別の側面が見えてくる場合があるわけです。

そこは注意です。

以下、

エリアンのシチュエーション別打率です。

エリアンはランナーなしで最も悪く、

ランナーなし 

130打数16安打(本塁打0) 打率0.123 出塁率0.174 長打率0.162 PA:打席/k:三振=4.1

打てず、出塁できず、PA/kも悪い(三振も多い)です。

宮崎は、この数字が12となり、三振が少ないですが、エリアンは長打力がないのに4.1もあります。

総ての面で、非常に低調です。

一方、

ランナーありの場合、

100打数31安打(本塁打3) 打率0.310 出塁率0.350 長打率0.520 PA/k=5.9

ランナーなしとの比較で素晴らしい数字を残しています。

得点圏に限りますと、さらに数字が跳ね上がります。

51打数17安打 (本塁打2) 打率0.370 出塁率0.408 長打率0.565 PA/k=6.4

この数字だけみますと、一般的な感覚で良く言われる勝負強いバッターと言えそうです。

ところで、本当にエリアンは勝負強いバッターと言えるのでしょうか?

この数字だけみますと、チャンスで使うべきとも思いますが、それは正しい考え方なのでしょうか?

私的にはNoですが、

この数字の背景が、

配球制限のありや、なしやになります。

エリアンとは

ローボールヒッターです(下からバットがでます)。

特に左に立ちますと、極端なアッパースイングになります。

当然ながら、直球に弱いです(アッパースイングのデメリットを打ち消すようなスイングスピードがない)。

また、アッパースイングの宿命として高めが打てません。

昔の筒香も、そうでした。

空振り、もしくはホップフライになり易いです。

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また、内角の捌き(窮屈なスイングをします)が苦手です。

代わりに、外角、特に外角の変化球が得意です。

(アッパースイングはすくいあげるような打撃ですので変化球と相性が良いです。)

得点圏では、長打警戒をしたいので、アウトローを中心に投げますが、これがエリアンにとっては助かっていたわけです。

また、ランナー、一塁ですと、比較で塁間が広がり易い1,2塁間にも打たせたくなく、そう言う投球(左打席には外角)をしますが、そのシチュエーションもエリアンには最適でした。

というわけで、以前は打てたわけです。

が、今は、極端に悪い事がわかっていますので、ほとんど外角に投げてくれません。

内を強く意識されて、外の配球ですので、外に来ても、なかなか打てないです。

以上の理由により、エリアンは打撃不振に陥っています。

得点圏、通算では高いですが、個人的論評では、エリアンを勝負強いバッターとはみていません。

潜在的に打つかもしれないで、配球していた時期と違い、今は打たないモノとして配球されています。

得点圏関係なく、インハイ(あるレベルの球威は必要です)を攻められていますが、かなり分が悪そうです。

チームと、ファンで、情報の非対称が生じやすいですが、チーム関係者は技術論を背景に起用を決めるケースが圧倒的に多いです。

ただ、漠然と、得点圏で強いだけでは起用しません。

一方、我々、ファンは漠然とした情報である対右被打率や、得点圏打率等々で、その采配の正当性を議論し易いですが、情報精度が違い過ぎるわけです。

エリアンの場合、技術論が背景にありますので、急速に、その出場機会を減らしています。

7月24試合で106打席ありましたが、

それが8月には19試合で42打席、出場機会60%減と減らし、

9月はさらに減っています。

成績悪くても出場機会を与えられ続けた梶谷と、エリアンでは状況が違う訳です。

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本来は、二軍相当なのですが、

エリアンとの比較で出場機会を増していた石川が、肘の状態を悪くし、離脱しています。

また、あるレベルで2,3塁を守れ、両打ち、監督として使い易いですし、

なにより陽気(前向きな選手はチームに必要です)です。

そんな事もあって一軍に帯同されているとみています。

得点圏(対右打率、被打率、etc)だけではありませんが、

その打者が、

どういうタイプの打者なのか?

その個性は?

その打者に求めれている立場とは?

広島新井と、阪神時代の新井では求められる立場が違ってましたが、その結果、勝負強さに差(そう思われる印象とみられる要因の一つ)が生じた部分もありましたし、

それら情報を注意深く分析する必要があります。

その観点抜きに、雑多な数字の集合体でもある得点圏のみで打撃を語り過ぎますと、ミスリードを引き起こしやすいです。

巨人松井が、ヤンキースクラッチヒッターと高く評価されたのにも理由があるわけです。