セ・リーグ6球団の得点と失点パターンについての考察と雑感

本記事は失点パターンについてのみ記載しています。

本来得失点合わせて読み解いた方が、正しいあり方ですが、長くなるので分割しています。

以下、本論です。

2番目の図はイニングごとの失点を各チームの総失点で割った数値である。

得点パターンと同じだが、基本、失点も初回、二回り目、三回り目にピークを迎えるような傾向を見せている。

が、得点と違い、失点の場合、チームによっては終盤に4つめのピークが確認されており、そのあたり、4回り目に突入させているかどうかが、一つの目安と思われる。

投手力の弱い横浜、ヤクルトが中盤以降もダラダラと失点を続け、かつ、下位打順でも打線を断つことが出来ない結果、2つ目と3つ目の山が合わさったような形で大きな失点分布の山を作っている。

この2チームの課題は明白で、先発が試合を作れなかった事が原因である。

一方、投手力がある程度あって、試合を作れているチーム(巨人、阪神、広島、中日)の場合、その失点分布はノコギリ型になっている。

広島の場合、ヤクルトや横浜のように、序盤でより多くのランナーを出した影響か、打線回りが早く、結果的に失点には結びつかなかったようだが、2回り目の失点のピークが潰れ、打順回りが早くなった傾向は6回に来るべき失点の山が5回に来ている事からも、その影響が色濃く残っている事がわかる。

結局、ランナーを多く出した影響でチャンス回を広島の場合、もう一回つくられ、8回により多くの失点を喫しているようである。

この辺り、8回を投げている投手の能力が低いのか、相手攻撃陣との相対関係でチャンス回になってかは判断の別れるところだが、阪神や巨人と違い、より多くのランナーを広島は出していたのは事実な為、個人的にはチャンス回になっていた可能性が高いとしておきたい。

広島はチームとしてLOB率が高い部類で、ランナーを出しながらも粘り強く戦ってはいるが、ランナーを多く出す→打順回りが早い=全般的に打たれ易くはなるようだ。

この辺り、広島投手陣の今後の課題の一つだろう。

尚、全般的にランナーを多く出しながらも粘り強く抑えているのは、2013年シーズン総括広島で記載している通り、チームとして守備が良くなっているからと思われる。

一方、横浜やヤクルトのLOB率は貧弱であり、守備力も貧弱であることで、ランナーを出す=本塁に返していたのは、横浜、ヤクルトの総括で述べている通りである。

広島2013年総括

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/aaakkk/article/59

他に傾向的に面白いのは中日。

やはり早めの継投の影響があるのか、後半に息切れを起こすような傾向がみえ、投手三強時代(巨人、阪神、中日)から脱落しつつあるような状況でもある。

同時にランナーを多く出した影響で4回目の失点のピークが8回にも確認されている状況でもある。

ヤクルトの場合、一見すると8回の守りに問題がないように見えるが、6,7回に4回目のピークがあるのか、大きな失点分布をみせており実態は逆である。

また、中日の場合、先発陣に怪我が多かった影響で、阪神、巨人と違い2回も失点が多く、3回にV字の底が来ており、広島と違い鬼門である6回を上手く乗り越えられなかったようである。

相手の攻撃を上手く断っているいる場合、失点の山が高くなく巨人や阪神のようにきれいなV字が確認される。

上記は得点分布であり、失点と違い、ピークは基本的に3つ。

初回、3,4回、6、7回に得点分布のピークを迎えるようである。

一方で失点のピークが4つあるチームがある事を鑑みると、打順4回り目に突入させているチームが特異的に失点させているとみるのが妥当である。

特徴的なチームとして横浜をピックアップすると、犠打をしなくなった終盤以降(先発陣が崩れているから)、徐々にその得点力を増し、そのピークが7回にあるという、まさに皮肉な状況である。

本来的には中日のように7、8回は得点が減っている回なのだが、巨人と横浜が、そのピークを押し上げており、得点では確認されない失点の4つ目のピークを、この2チームが主体となって作っている原因と思われる。

おそらく、失点で4つ目のピークがあるチームの場合、得点分布を考えると横浜、巨人に打たれているモノと思われる。(4回り目に突入されている)

ヤクルトも傾向上、打順、4回り目に突入しているようなのだが、バレンティン頼りの打線の影響なのか、巨人、横浜ほど、大きな得点分布の山を作る事が出来てない。

一方、阪神の場合、上位の出塁率が高く打順回りが早そうなのだが、下位打線の出塁率がリーグ平均以下かつ、出塁率はあっても長打力がない事で、終盤以降、上手く得点が出来ていない。

(長打力がないと、点が入り難く、初回のように上位から始まる打順でないと得点できない→ 単打のみで点を入れるには3割打者が3人ならんでも、確率論上、なかなか得点できない。 その内、記事化するかもしれない。 →なぜ?長打率が重視されるかについて)

全体総論

得点を増やすには、ランナーをより多く出塁させる事が大事である。

が、ランナーを多く出しても、長打力がないと点が入らないのは世の常で(だからOPSが重視される)、そのバランスが重要でもある。

そのバランスが欠けると阪神のようにランナーを出しても、思った以上に得点が出来ない状況になってしまう。

クラッチヒッターがなく、NPBでも有数のチャンスメーカーである鳥谷を、4番に回さざる終えない所に阪神の苦悩を感じる。

もし、鳥谷を1,2番に固定出来れば、かなり得点力が増すことになるだろう。

その為にも新外国人の打力次第な感じである。

(個人的には、阪神が補強した外国人は大きく当たるか、とんでもなく外れるかの打者なので、次善の策を準備しておいた方が無難と思うのだが。。。球団の体質なのか危機管理に対する動きが極めて鈍い。)

また、広島や横浜のように過剰に犠打を使いすぎると、打順回りが悪くなる影響で、逆に得点力を落す場合もあり、その運用には注意が必要と個人的には提言したい。

特に横浜の場合、盗塁死(広島も2012年まで多かった)も多く、無駄なアウトがあまりに多すぎるきらいがあり、その高い攻撃力を活かしきれない状況でもある。

先発が崩れ一点を奪う野球を放棄せざる終えなくなって以降、その得点力が増しているのは、実に皮肉な状況である。

毎回、分析していて思うのだが、

中畑、野村監督に関しては、スモールベースボール固執し過ぎている可能性があり、逆にその得点期待値を下げていると思われるようなデータに突き当たる場合があり、心中、複雑な想いに駆られる時がある。(1点を奪う得点確率を上げるかわりに全体の得点期待値を下げている)

但し、広島の場合、守備力、投手力が整備された事で、スモールベースボール(一点を奪う代わりに総得点を落すかもしれない野球)が機能し始めている面もある為、

セカンド菊池を中心とした守りの野球を遂行する事で、ある程度、その野球が出来る期待感は感じさせられる。

巨人に関しては、1,2番の出塁率ぐらいである。

犠打も少なく(必要に応じてさせる、しかも、よく練習しているので失敗しない)、横浜と違い、その攻撃力を如何なく発揮している。

投手力、守りも悪くないのでスモールベースボールを志向しても良さそうなのだが、原監督の場合、ケースbyケースのようだ。

総合力が非常に高いチームでもある。

強いて巨人の弱点を言えば、阿部に対する依存度が高すぎることで、彼が抑えられると、その得点力が落ちてしまうのが、辛い所でもある。

阪神(.219)、ヤクルト(.250)に阿部は抑えられていたが、その結果がチームの得点にも影響を与えており、チームとして阪神、ヤクルトから得点を奪えてない状況である。

ヤクルトから巨人が得点を奪えていないといのが、その依存度の高さを示すものと思われる。(神宮と東京ドームという打者有利な球場にも関わらず、巨人として阪神に次いで得点を奪えていない

一方、阪神の場合、能見、スタン、榎田をブツケテいるのだが、その三人が三人とも阿部を抑えており、場合によると、今シーズン、阿部は苦労する可能性がある。

気づく方は気づくかもしれないが、東京ドームで阪神が対巨人戦で健闘しているのは、阿部を甲子園だけでなく、東京ドームでも抑えているからである。

この辺の脆さがあるが故に、巨人も必死に補強をするのだが、いやはや・・・

っと、長々、解説してきたが、次回、本論の澤村投手がなぜ?勝てないのかについて分析を進めて行きたいと思う。

実は、澤村の援護率が低い理由の分析の為に各チームの得失点状況をみていたわけである。(本当は巨人だけでも良いのだが)

先にネタ晴らしをすると、澤村が投げている時に、阿部が打っていないわけだ。

まぁ、それを運不運で割り切って良いのかは不明でもある。

次回、原監督の采配傾向、巨人の得点分布パターン、阿部、澤村の対戦相手等に着目して、なぜ?澤村が成績の割に勝てないのか、みてみようと思う。