ヤクルトが優勝した理由、それは横浜。チーム成績を省みて雑感

相手に対応される、研究されるで、新春予想をしていた部分もありましたが、

戦力が拮抗していますと、

この相手に意識されると言うのは存外大きいです。

特に、この打者、この投手、このチームには、やられたと感じた場合、オフに皆さん、やられた側は、必死に、その対応に注力しますので、その効果が出る場合が多いです。

広島さんの話を中心に連載して居ましたが、

基本は、このヤラレタラ、やり返すなんですよね。

この課題に対し、真摯に取り組んでいるわけですので、中日の八木のような投手は、打たれるかもしれません。

中日の八木も広島戦以外、成績上通用しなかったわけで、当然、危機感持ってオフに取り組んでいると思います。

(技術的問題も絡んでいますので、シーズン中に対応出来ない場合が多いです。)

さて、件のヤクルト戦。

横浜は、2014年、16勝8敗 と圧倒しました。

その大本を探りますと、対戦防御率 2.96が大きかったです。

2014年のリーグ最強打線ヤクルトに対し、横浜は対戦別で最も良い防御率を残して居ます。

横浜の対ヤクルト以外の平均防御率は4点台です。

これ異常でして、横浜、神宮という打者有利な球場で、リーグNO.1の破壊力をもった打線を、他のチーム以上に抑えていたわけです。

そこにはwhyがあるわけですね。

横浜、2014年のチーム防御率優秀でしたが、ヤクルト戦除くです。

当然、ヤクルトとしては、どうして他のチームは横浜を打てているのに、自軍が打てないのか研究するわけです。

同時に、他のチームの投手をヤクルトは打ちこんでいるのに、横浜だけを打てない。

巨人の場合、2014年、唯一負け越したのが横浜でしたので、その面で意識されたかもです。

その成果が今年。

横浜の対戦成績、チーム別でみますと、2014年の対戦別防御率が、綺麗に入れ替わっています。

2014年  →2015年

ヤクルト 2.96→4.15

巨人 3.47→4.17

阪神 3.95→3.67

中日 4.16→3.22

広島 4.63→3.13

ストライクゾーンの変更?等々の影響でリーグ平均防御率が前年の3.89→3.24と変化していますから、絶対値での比較難しい面もありますが、

それを踏まえると、対ヤクルト、巨人戦における対戦防御率、より悪化していると言って良いでしょうね。

その原因を探りますと、

2015年シーズン序盤で指摘していましたが、

黒羽根のリード傾向が分析された事があったとみています。

他のチームも黒羽根のリード傾向(得点圏、外中心過ぎる配球)を理解して居ましたので、決め打ちに近いような形で打たれる場面ありましたが、より最悪な形でヤクルト、巨人戦は推移しています。

黒羽根のリードだけでなく、ヤクルト、巨人の場合、横浜の主戦投手別でも良く研究していたかもです。

その影響もあって、

対ヤクルト、対巨人戦、序盤、LOB率(ランナー出ると還ります)が異常に悪かったです。

久保、復活?、初勝利と嶺井先発マスク

にて、記載していますが、

特にLOB率(残塁率)が、この2チームと対戦すると悪い印象なんですよね。

というより、悪い。

対巨人が60%、ヤクルトが61%ですので、実に効率よく得点されています。

他のチームと対戦した時の横浜のLOB率80%近いので、際立っている感じです。

この結果、横浜の疑似防御率2.67と、実際の防御率3.75に乖離が生じている感じです。

結果、黒羽根はダウン。

以降も攻守両面で精彩を欠きシーズンを終えています。

横浜は、その対応で捕手を変える事で、序盤の劣勢を挽回した部分も在りましたが、より経験のない捕手へのシフトです。

最後まで響いています。

結局、捕手中村の活躍もあり、横浜は対ヤクルト戦で8勝17敗と大きく負けこしています。

この対横浜戦で作った貯金9がヤクルト優勝に果たした役割、大きかったかもしれません。

優勝するチームによくある、お得意様に横浜はなってしまったわけです。

そもそも、

なぜ?横浜は2014年、ヤクルトを抑えていたのでしょう?

これ、実は相性のようなモノでして、

あまり横浜の知恵は絡んでなかったと見ています。

(巨人戦に関しては、意識して頑張っていたというか、中畑さん、巨人には負けるなですので)

たまたま、

ヤクルトのチーム戦術と、横浜の投手戦術が絡み合い、相性が悪かっただけでしょうか?

ヤクルトの戦術変化ですが、

2013年 IsoD 0.74(出塁における四球の占める割合)、リーグ1位→ 2014年 IsoD 0.60 最下位となります。

ヤクルトの場合、

四球での出塁(粘り強い打撃)も重視するような戦術を採用していたのですが、2014年以降、より積極的に打っていく打撃にシフトチェンジしています。

この手の代表格で言いますと、巨人です。

故に、巨人も基本的に、IsoDが低いです。

バッティングカウントで積極的に打って行こうが球界の常識になっていますが、それをヤクルトも意識的に取り入れています。

余談ですが、

昔から好球必打はありましたが、それがより積極的に成って来ています。

バッティングカウントにおける平均打率の高さは、衆目の一致する所ですし、何のボールを選ぶという所で打者側に主導権在りますから、有利です。

勿論、その逆で一打席に要する球数P/PAも重視されて来てはいますが、チームバランス構成上の問題として考えられていますね。

最終的には、相手次第で柔軟に対応するような形になるものとみています。

結局、

上記トレンドの結果、ツーストライクに追い込むためのカウント球のありやなしやで。。。昔以上に投手成績が左右され始めています。

余談終わり

積極打法を志向した結果、2013年との比較で、チーム打撃を大幅に良化させたヤクルトでしたが、

2014年横浜には通じませんでした。

決め打ちという意味で、皆さん、先ずはストレートを打ちに行くのですが、

横浜の投手の場合、そのストレートが良いんですよね。

2014年交流戦で、ロッテの打者が、そのストレートを早打ちしてくれて、楽々、井納が投げ切った記憶もありますが、

そのロッテのような形で、ヤクルトさん対応されています。

かつ、動くボールを横浜が丁度(打たせてとる)、より積極的に使っていた時期で、良いように嵌って下さいました。

横浜の投手、2014年対ヤクルト戦ですと、総じて球数が少なかったですが、そんな事も影響しています。

そして、2015年。

黒羽根のリード傾向の分析と、早打ちを若干修正し、横浜戦では、特にボール球を見極めるようになってしまったヤクルトは横浜を圧倒します。

また、折しも、

黒田という、超一流のムービングファストボール使いが、オープン戦も含めヤクルトさんと対戦が多かった影響もあり、開花した的な・・・

配球という意味で、黒田&石原バッテリーと、横浜の投手、捕手陣では雲泥の差在りますし(配球チャートみて差があり過ぎます)、余計に打ち易かったかもしれません。

さて、

そんな横浜ですが、

今年は、ヤクルトを強く意識しているでしょうね。

対戦相手として大幅に負け越ししていますし、その対策リソースをぶつけているハズです。

対策は、一番ヤラレタチーム優先に行われますので、

その成果が出ることを期待しています。

おまけ

横浜が対ヤクルトで完敗した理由に、

ヤクルト中村も関係していると考えています。

横浜のチーム方針として、他のチーム以上に好球必打。

読みは各打者で、お勉強(その後の成長の妨げになるので、過度に打撃指示しませんでした。そろそろ次の段階に進む時期に来ているかもですね。個人的にはレギュラーセレクションの年と思いますので、今年も例年と変わらない方針とみています。)なのですが、

中村。

配球傾向的に、打者の裏を欠くのが好きで、結構、定石を外します。

横浜の対戦打率、ヤクルト戦。

.214(対戦被防御率2.25 他のチームとの比較でヤクルトは横浜戦になりますと、一点以上防御率が良いです)は、他のチームとの兼ね合い、神宮、横浜球場特性を考えますと非常に低いです。

上手く狙いを外された感もあります。

横浜の各打者も、中村にヤラレタ感あるでしょうから、この辺のせめぎ合い、ファン的に期待しています。

最後に、ヤクルト野村監督の名言を送ります。

現役時代にホームラン王を獲得した翌年、スランプに陥りました。そのとき先輩に言われました「野村よ、ぶん殴ったほうは忘れても殴られたほうは忘れないぞ。勝負だから、相手から自分を見ることも大事なんだ」と。殴られたら殴り返すという当たり前のことに気づかなかった。自分ばかりでなく相手も変わることに気づかなかった。先輩の、あの言葉は未だに耳に残っています。このときからですよ、データに夢中になったのは。相手の自分に対する攻め方が変わったのか変わらないのか。それを知るにはデータしかなかった。

黒羽根&横浜の捕手コーチは、若干、このやり返されるという観点が抜けていたかもしれません。

三振を狙った上下を意識した配球に序盤取り組んでいたのは承知しており、結果、奪三振率は良くなったのですが・・・

やられたチームは、

やり返そうとします。

横浜並びにヤクルトも、その辺、承知していると思いますので、

どう推移するのか、私的には楽しみです。