DeNA・筒香、1億円で更改 球団最速、高卒7年目での大台突破
DeNAの筒香嘉智外野手(24)が19日、横浜市内の球団事務所で契約交渉をし、5400万円増の1億円でサインした。7年目での大台突破は、高卒野手では球団最速。(金額は推定)
筒香が1億円突破です。
昨年、チームが苦しくなった時、その打棒で度々救ってくれましたが、本当に良い打者になりました。
ここで、
筒香の成績を年次で振り返って行ってみたいと思います。
2010年入団初年度、高卒新人ながら二軍では4番で起用された筒香、高卒新人として大田泰示の本塁打記録を塗り替えています。
この大田と、筒香成績的に良く似てまして、課題も同じでした。
2010年 二軍成績 .289 102試合 418打席 26本塁打 88打点 出塁率.333 長打率.502 OPS.835 三振 102
気になるのは、この三振102です。(大田は108)
二軍で102三振を喫するといのは、変化球に対応出来てない場合に多いです。
つまり、より大きく変化し、レベルの高い一軍では、その変化球の対応に苦労するわけです。
結果、二軍との比較で、より大きく成績を落すケースが多いです。
これ、巨人の大田や、元横浜の北も同じです。
この部分で、どう対応するかで筒香は苦労して行くわけです。
2011年、5月に右手首の靱帯を痛め、この影響から3ヶ月近く実戦から遠ざかりましたが、二年連続で二軍で本塁打王を獲得しています。
一軍でも、40試合に出場し、8本塁打放ちました。
2011年 二軍成績 .224 57試合 219打数 14本塁打 35打点 出塁率.302 長打率.457 OPS.759 三振 80
相手もわかって来ていますので、PA(打席)/k(三振)が前年の4.4(打席に一回三振)→3.1と悪化しています。
技術課題が残っていますので、筒香のようなタイプの場合、一軍と二軍で成績が変わらず、
2011年 一軍成績 .241 40試合 145打数 8本塁打 22打点 出塁率.306 長打率.476 OPS.782 三振 51 PA/k=3.1
一部、一軍(二軍でも通じる)でも通じるのですが、
穴があるので、そこを突かれると、打てない。
そんな状況でした。
2012年、
死球の影響で、開幕二軍スタートでしたが、5月に一軍昇格すると、その日のヤクルト戦(横浜)で「3番・三塁」で即スタメン出場。
初の一軍規定打席をクリアしています。
クリアしましたが、技術課題を、そのままにの起用だったので、全く伸びませんでした。
配球の読みや、考え方を変える事で打ちだす選手も居ますが、その多くはフォーム改造等、シーズン中には対応出来ない修正が必要な場合が多く、一般に、シーズン中に、技術課題をクリアして成績を伸ばす選手、あまり居ません。
中畑監督的には将来を見越して、良い経験させているとでも思ったのかもしれませんね。
問題は、この経験を、どこでするのが妥当かなんですが、二軍投手の変化球にも、実績上対応出来ていませんでしたので・・・
何でも良いから、一軍で起用しろという声を良く聞きますが、段階を踏む方が伸びやすいです。
この新人は、わが社のホープだ。
なので、将来を見込んで、このプロジェクトを任せたいと思う。
実力が足りなく、いろいろ大変だと思うが、ガンバってくれたまえで、
伸びる新入社員は少数です。
残念ながら、伸び時というのがあるんですよね。
我々、素人がプロと対戦しても、打撃が伸びないと思いますが、
そんな感じです。
一軍経験は、経験で大事なのですが(目標とする世界のレベルを知る)、
研鑽する際には、その武器が通じる場でないと、その試行錯誤が成立せず、貴重な経験をスポイルし易いです。
高城が二軍で打撃経験を積んでいればと今でも思いますが、段階を踏まないと伸びないです。
そして、
2013年、筒香は苦しみます。
一軍試合数も大きく減じ、前年の108試合446打席から56試合、51打席となっています。
成績もよくありませんでした。
二軍成績は.272 77試合 319打席 7本塁打 45打点 出塁率.351 長打率.405 OPS.756 三振 53
PA/kは6.2と改善しましたが、その反作用で本塁打も減っています。
三振の多い、スラッガータイプに良くある、誰もが通る道です。
こんなの筒香でないという声が聞こえて来そうですが、まぁ、順調に悩んでいますね。
そう言うモノです。
そんな筒香に転機が訪れます。
それは大村コーチです。
梶谷も、筒香も、その成長に影響を与えたのは、大村コーチであり、中村ノリヒロです。
中でも、大村コーチが果たした役割大きいと思っています。
始まりは2年前。DeNA筒香嘉智はいかにして覚醒したのか?
「最初にしたことは、筒香が入団してからの4年間を聞くことでした。彼がなぜ能力を発揮できずにいるのか、その障害となっているものは何なのか。そのプロセスを聞かないことには、進むべき方向を示せませんから。当時は打撃フォームもコロコロ変えていたみたいですが、彼にとっていちばん大切だったのは、どんな打者になりたいのかを明確にすることでした」(大村コーチ)
以外と、
これが出来てないんですよね。
高田GMの目指す球団とは?、横浜のコーチ育成についての雑感
にて、日本ハム系コーチの指導方法を記述していますが、
大活躍したDeNAの主砲・筒香嘉智についても、大村コーチは「僕は何もしていない」と言っています。
この感覚が大事なのですが、
選手の打撃観(こう思う)に対し、指導し過ぎる場合がありまして、
筒香が振り返っています。
「(僕に対して)ライトへ引っ張ってホームランを打つイメージを持っている人は多いと思うんです。でも、僕はどんな状況でも対応できる技術を身につけたいとずっと考えていました。どの方向にも打てて、ランナーが三塁にいればきっちりと犠牲フライを打つ。実際、そこを目指して長いスパンで計画を持って取り組んでいたんですけど……。ただ、いろんな方からアドバイスをいただき、それを取り入れなきゃいけない環境だったので……」
つまり、元横浜の村田のような打撃をしたかったわけです。
左に強い打球を飛ばしたい。
かつ、状況に応じて対応したい。
そうなると、話は簡単なわけで、
引き込んで打つ。
強いスイングが筒香の特徴ですが、
筒香と松井秀喜、重なった打撃論
打法完成の試金石は黒田との対決か
っとなったわけです。
それらがクリアになった筒香は、2014年飛躍します。
「彼は長距離バッターじゃないですか。長距離バッターというのは、ポイントを少し前において、引っ張れるボール、左バッターだったら右方向に大きなボールを打とうとするもの。でも、彼はそういう打球を打たないんですよ。反対方向にばかり打つ。本人は反対方向に打てたら安心感があります、と言うけれど、チームが望んでいるのは2割5分でもいいからホームランを30本、40本打てるようなバッター。彼はそういうポテンシャルを持っているんだから、そうなってほしいという思いはありました」
このチームと、筒香の想いの掛け違い、ボタンの掛け違いを、
大村さんは修正してくれたわけですね。
2014年、今までと違い(2012、13は怪我)、オープン戦から結果を出した筒香は、開幕スタメンを果たします。
この年、筒香は、
.300 111試合 496打数 24本塁打 77打点 出塁率.373 長打率.529 OPS.902 三振 100
っと、
結果を出しています。
課題だったPA/kも、3.1→4.6と、大分改善しました。
さて、そんな筒香ですが、2015年は、さらに進化します。
そして一億円へ。
チーム生え抜き野手で一億円プレイヤーが誕生するのは、
2002年(マルハが関わった最後のドラフト)に入団した村田が最後です。
*追記
横浜の生え抜き野手として最後の一億円プレイヤー(一億円到達は村田の方が早いです)は内川ですが、入団年が村田より早く、入団年でみますと、村田が一番最後(遅い)の選手となります。
マルハ時代に指名した選手としては、内川が1億円プレイヤーになっていますので、育成が完全にダメだったとは言いませんが、それ以上にドラフトが・・・不味かったと言えるかもですね。
尚、SBの吉村もマルハ最後のドラフト。2002年入団なので、TBSが指名した野手は、今の所、目だった活躍をしていません。
強いて言えば、石川になりますが・・・
実に、13年ぶりの出来事でしたが、これが、このまま、チームの暗黒期に重なります。
TBSがドラフトに関わった野手としては、筒香が初めてです。
いやぁー、長かった。
本当に長かったです。
オールスターにも出れる野手がTBSドラフト選手になく、これほど長期にわたり低迷したのは、
90年代の阪神と、横浜ぐらいです。
やっと低迷期を抜ける前段階に達した感ありますね。
筒香の進化云々(課題にも通じます)の話は、もう少しデータを集めて記述しないといけなく、
かつ、書いている間に、2016年の話に通じそうでもあり、別記事で書かせて下さい。
2014年、2015年の比較データを分析しつつ、次回、2016年を語りたいです。
最後に、もう一度、一億円突破、
筒香、おめでとう。