山口の市場価値と、雑感

横浜が誇るパワーピッチャー山口がFAしました。

ヤキモチした日々が終わり、いよいよ動き始めましたが、

山口の適正年棒(査定)について雑感を。

適正年棒(査定)というより、市場価格というのが、この記事の主要論点ですが、その前に査定とFAにおける査定(市場価値)では数字が違ってきますので、

その説明をさせて下さい。

通常の査定でしたら、2億は超えない可能性が高いです。

山口の今シーズンの年棒が8000万円でした。

先発実績も乏しく、今シーズンも度重なる怪我で規定投球回数に届いていません。

FAがなければ届いて1億5、6千万(質が素晴らしかったので高めに査定しています)ぐらいでしょうか?

打率.300を超えても、規定打席数に足りなければ、その質の高さも割引されるような感じです。

三振、投球回数、安打数、ホームラン数、試合出場数、一軍登録日数(ベンチ入り)。

まずは仕事量がベースとして計算されるのが通例です。

打席500で達成した打率.300と、50打席で達成した.300では、その査定結果が違ってきます。

フルに働けなかった点で今シーズンの山口はマイナス査定だったかもしれません。

ただ、そうは言っても、その質が素晴らしい。

仕事量の定義は、量も重要ですが、質も問われます。

残業時間がなくても仕事として質が高ければ、勿論、評価されますし、より高い評価を得る事も可能です。

平均で、8回途中まで投げれた投手は菅野、ジョンソン、山口の三人だけでしたが、

その三人の中で、一番、平均して長い回を投げてくれたのが山口です。

こんな投手、そうはいません。

そうはって言うより、居ません。

広島の最多勝野村より平均で1回1/3多く投げてくれていますが、監督、投手コーチにとって、これほど在り難い投手はいないでしょう。

それ故、価値が高くなっています。

ベースとして量(残業時間のようなモノ)とは言いましたが、

他の投手への影響、特に中継ぎ陣に与えるポジティブな影響が面が見逃せません。

長い回を投げてくれる投手は、それだけ他の投手の負担を軽減させてくれます。

同じ防御率、質でも、投球回数で1違った場合、中継ぎ投手が一人増えるような感じですから、期待値(市場価値)として大変、大きな投手と言えます。

ベンチ入り人数を一人減らせる効果があるかもしれない(言い過ぎですが、それに近い効果があります)。

中継ぎ投手を多く登録したかった横浜では捕手2人制をしいて戦っています。

これが、完投能力の高い投手が多くなりますと、中継ぎ負担が減らせますので、野手(捕手を3人に増やす事が出来るかもしれない)を増やせる事になり、とれる戦術選択の幅が大きくなります。

同時に、中継ぎを休ませる事ができますので、中継ぎ陣の疲弊を避ける事にもなります。

広島野村と山口を比較した場合、怪我で離脱した期間が山口の場合、長いですので、トータルでみますと広島野村に軍配があがると思っていますが

山口が離脱した分、他の投手が投げる必要が出て来ます。

その投手に払う分、マイナスとでも思って下さい。

しかし、その質の高さから予想される、怪我なくシーズンを回れていた時の期待感。これは大きいです。

これが山口の市場価値の底上げをしています。

さて、本筋の山口の市場価値ですが、

査定と違いFA市場の価値とは、期待感で決定され易いです。

査定は過去を基に行われます。

評価基準は、あくまで過去(2016年実績)です。

一方、FAのように新戦力獲得の場合、2017年以降の未来への期待値で価値が算出され易いです。

この時点で、従来の査定とは開きが生じます。

怪我して出術をする場合、市場価値は下がりますが、査定は2016年実績で行われますので下がりません。

そう言う差があります。

この期待感が大きいのが山口です。

そして、

もう一点。

普段は1000円で買えても、その希少性と、希求感が強いと価値が跳ね上がります。

MLBでも同様な事がありますが、先発FAが少ないと選手側に有利な契約をし易いです。

山口のようなイニングイータは、どの球団も欲すると思います。

それプラス、

希求感が強くなり易いのは、

来季、あるレベルでコストを掛けても構わないような球団となります。

そのチームとは巨人となります。

このチームの場合、戦力が、あるレベルでありまして、山口加入効果が、他のチーム以上に大きいです。

優勝に向けての、ひと押し効果が大きく感じます。

昔、横浜が、まともな戦力整備せず、6億5千万で、未だにNPB史上最高の年棒でもある佐々木と契約した事がありましたが、見事にアホ鳥契約化しています。

戦力の逐次投入とでも言うのでしょうか?

佐々木に往年の力があったとしても、チームバランスが悪いチームに付加価値の高い選手が居ても持て余す事になります。

MLBでは、再建モードのチームと、優勝を目指すチームでは、自ずと、その姿勢も変わって来ますが、

戦力の上積みがあればの最右翼の優勝候補として巨人は期待されるかもしれません。

その希求感が最も強いのは言うまでもなく巨人です。

戦力的に、広島に次ぐ戦力を保持していますし、あれだけ怪我人が相次いでも、2位でした。

宮国が怪我で離脱するまで追いすがってきたチームでもあります。

今年は怪我人が多過ぎましたが、ここに山口が入りますと、大きな戦力アップとなります。

理由は、

ローテが埋まる上に弱点の中継ぎのケアにもなるという、まさに一石二鳥の補強だからです。

その上に、ライバル球団からの移籍です。

相手の戦力も奪えるという一石三鳥の補強です。

そして、総年棒が高い。

優勝出来るだけの戦力がある上に、総年棒が高いのなら、優勝争いは必須ですし(優勝争いできなくて年棒が高いのはバランスが悪い)、そこにコストを掛けるのは、なんら問題がありません。

他の選手に掛けているコストを有効に使う為にも、数億出して、少しでも優勝確率を上げるのは理にかなった行動です。

獲得で出来るのなら、3億でも出します。

外国人と違い人数制限が入りませんし、その面でも付加価値が高いです。

補強手段の限られるNPBの事情を考えますと、上限なしで獲得したい選手でもあります。

早速、3年6億と、報道が流されましたが、ドーンっと出してもおかしくないです。

ですが、流石に、

上限なしですと、査定バランスが崩れますので難しい。

感覚的に助っ人外国人に出す年棒のような感じですが、ギャレットに3億だしていますし、他の高額年棒選手を活かす為にも、優勝以外を目指すとは考えにくいです。

1位 内海 4億

2位 安倍 3億2600万

3位 山口 3億2000万

バランス的に、坂本(現在、序列6位)に今シーズン提示されるだろう年棒より低いとは思いますが、

坂本が今シーズン貰っている2億5500万が一つの目安(それ以上、超えてくるとチーム内でも批判が強くなりそう)でしょうか ?

バランス考えますと、序列第8位のマイコラスに支払っている2億4千万が最初の壁ですが、

2億2億4千万。

遊撃に坂本のようなスペシャルな選手がいなければ、ここまで本気補強しなかったかもしれません。

違いを生み出せる選手に成長しました。

あの守備と打撃は、ちょっと参ります。

昨年、辺りから守備が急激に進化していますが、井端コーチ効果なんですかね。

そこに、あの打撃です。

WARで山田を抜き+9.6を、今シーズン、たたき出しましたが、一時の阿部のような水準です。

シーズン当初、下半身に問題を抱えていた影響か、守備が低調でしたが、恐ろしい選手に成長しましたね。

カネのとれる守備を坂本で度々、みれるようになりましたが、在り難い話です。

そこに大ゴマとして菅野が居て、

阿部、村田、長野、マイコラス・・・・

まぁ、普通に強いです。

唯一の悩みは、若手野手の深刻な伸び悩み。

レギュラーが欠けますと、とんでもなく戦力が落ちる事ですが、亀井や片岡、クルーズが怪我なく試合に出てくれれば、実力不足な若手を起用する必要もないでしょうし、やっぱり強いです。

先発も、過度な期待は禁物ですが、経験豊富な内海に、大竹、杉内が、今シーズンとは違い最初からいます。

阿部も、出遅れなく出てくれれば、大きな戦力アップ要因です。

4番でなく6番、7番、代打なんて贅沢な事をファンは言いますが、打順関係なく阿部がいる巨人は引き締まります。

チームにポジティブな影響を与えてくれる選手です。

誰もが、困った時に顔見るような選手がいますが、横浜に不在の、自他ともに認めるチームリーダーです。

中継ぎに関しては、

宮国が離脱した瞬間、突き放されたように、本当に泣き所なのですが、

ここも山口が入ることで、かなり楽になりますし、獲得を検討していると言われる森福が入れば・・・

今シーズン、高木が居ればと思った巨人ファンさんも多かったと思いますが、本当に、その構成に苦労しています。

もう、最後はマシソン、お願いでした。

2012年の広島今村以来の投球回数80をマシソンは投げましたが、最近でいいますと、かなり異例な起用でした。

中継ぎで80超えたと言いますと、怪我した人ばかりなので、マシソンだからできた事ですし、そんな残業100時間何てシステム、誰も望みませんから、

本気で山口を獲得しに来ていると感じます。

その本気に横浜が対抗できるとしたら、ともかく誠意。

2億5千万程度出せれば(年棒バランス上、巨人の上限と思われる)、横浜に残留してくれると思いますが、一つの目安がロペスに提示した2億3千万ぐらいでしょうか?

山口的に、

一番大きいのは、金額以外の要素。

働きやすさ、力の発揮し易さ。

ラミレス監督の選手マネージメントの秀逸さは図抜けていますし、山口のように、ともするとネガティブに考えやすい投手を、ともかく、勇気づけて試合に送り出しています。

山口の野球人生の中でも、かなり、やり易いと感じたと思われる監督だろうと思いますし、特別な選手に対する遇した方は、梶谷らをみて分かります。

非常に働きやすい所作をしてくれています。

だから、3位にくいこめたわけです。

今シーズン、キャリアハイを記録できた選手が横浜で多かったですが、山口的にも、いろいろな意味で後ろ髪が引かれる想いとは思います。

このチームで、この監督の基で働きたいと思ってもおかしくなく(居心地が大変良い)、相当悩んでいると感じます。

そう言う、きめ細かなケアを巨人で出来るかと言いますと、

巨人の場合、スペシャルな選手がたくさんいますので、難しいと言いますか、

原さんのように、公平でしたが厳しい起用にならざる終えず(当たり前ですが)、

その点で不安を覚えていそうな感触を覚えます。

まぁ、どっちに転んでも、巨人村田を見守り続けていますように(巨人に行って成長しました)、見守るのですが、山口を活かすには、メンタル面でのケア(ネガティブに感じやすい)が重要です。

それを良く知る尾花投手コーチに居ますので、どうケアして行くのか興味もありますが、

横浜ファン的にはヤキモチする状態ですね。

山口が悔いを残さない良い決断ができる事を、一山口ファンとして願っています。

山口の涙のFA宣言をみて、堂々と宣言して欲しいかったと思いましたが、雑音(権利行使ですので誰も責めないハズなのですが、責める人がいるんですかね。)が気になるか悩む。

心優しい故に、悩む。

悩む。

悩むから、何やっても良いわけではないですが、悩みやすい性格故に力を発揮できなかったと感じる投手です。

他の球団に行くより、山口の事を良く知っている監督、コーチ、仲間たちがいる横浜の方が力を出し易いとは思っています。

昔、感じなかったチームの和を、ヤスアキの件で、

須田やタナケン、三上が語っていたように、皆で支え合うような感じになってきています。

2016年08月07日

チームを感じた今シーズン最高の勝利について雑感

チームを感じるようになりました。

今年、山口は、怪我があったとは言え、まずまず良いシーズンを過ごせたと感じています。

一方で、実績として今年だけですので、

もう少し、横浜で、山口を知る人たちに囲まれて、その力を養ってほしい。(心配)

横浜ファンとしても、そうあって欲しいと思っています。

一方で、山口ファン的に、

違った環境で、かつより厳しいかもしれない巨人で、逞しく成長する山口をみたくもあり(村田のように)、その選択に敬意を示しますから、

泣かないでね。

気持ちよく決断し(悩んでいるのはわかります)、後悔のない野球人生を歩んで欲しいと願います。

山口を残すのなら、GMでなく、監督が交渉した方が良いかもです。(良い可能性が高く、同席させた方が良い)

職分を大事にするラミレス監督ですので、ラミレス監督(編成の職分を犯す行為)自ら交渉ごとに参加するとは思えませんが、可能なら山口がラミレス監督に相談するような感じで、話をして欲しく思っています。